略式起訴と罰金|同意する前に知っておきたいことと前科の扱い

略式起訴と罰金|同意する前に知っておきたいこと

「罰金を払って終わりました」という言葉を耳にすることがあります。この多くは略式起訴という手続きによるものです。裁判所の法廷に立つことなく、書面のやりとりだけで罰金が決まり、その日のうちに身柄が解放されることもあります。ただし、罰金刑も刑罰であり、前科として残ります。この記事では、略式起訴とはどのような手続きなのか、応じるかどうかをどう考えればよいのかを整理します。

目次

略式起訴とは

略式起訴とは、検察官が簡易裁判所に対して、公開の法廷を開かずに書面だけで刑を決めるよう求める手続きです。裁判所はこの請求を受けて「略式命令」を出し、100万円以下の罰金または科料を言い渡します。

通常の起訴(公判請求)であれば、法廷が開かれ、判決までに数か月かかることも珍しくありません。略式起訴はこれに比べてはるかに短期間で終わります。事案が比較的軽く、事実関係に争いがない場合に選ばれる手続きです。

どんな事件が略式起訴になりやすいか

大前提として、その罪に罰金刑が定められていなければ略式起訴にはなりません。たとえば詐欺罪は法定刑が拘禁刑だけなので、罰金で終わることはありません。一方、窃盗罪には罰金刑が用意されているため、事案によっては略式で終わります。

実際に略式起訴で終わることが多いのは、次のような事案です。

同じ罪名でも、被害が大きい、繰り返している、認めていないといった事情があれば通常の起訴に進みます。罪名だけで結論は決まりません。

本人が同意しなければ進まない

ここは見落とされやすい点です。検察官は略式起訴をする前に、その手続きの内容を本人に説明し、異議がないかどうかを確かめ、書面で意思を明らかにさせなければなりません。つまり、本人が同意しなければ略式起訴にはなりません。

実務では、取調べの終盤に「罰金で終わらせるが、それでいいか」と確認され、その場で書面に署名を求められることがあります。早く帰りたい一心で署名してしまう方もいますが、署名すれば罰金刑が確定に向かい、前科が残ります。争う余地があるのかどうかを、署名の前に確認しておく価値があります。

身柄が拘束されている場合の流れ

段階内容
捜査の終了検察官が処分を決める。不起訴・略式起訴・公判請求のいずれか
意思の確認略式手続によることに異議がないかを確認され、書面に署名する
略式起訴検察官が簡易裁判所に略式命令を請求する
略式命令裁判所が罰金または科料の額を決めて告知する
納付・釈放罰金を納めると身柄が解放される。その日のうちに帰れることが多い

勾留されている方にとっては、この流れに乗れば拘束が短く終わります。手続き全体の位置づけは逮捕から72時間の流れ勾留とはをあわせてご覧ください。

前科はつく

罰金も刑罰ですから、略式命令が確定すれば前科になります。「裁判をしていないから前科ではない」というのは誤解です。前科と前歴の違いはこちらの記事で整理しています。

これに対して、不起訴で終われば前科は残りません。略式起訴に応じる前に、不起訴を目指す余地があるかどうかを検討する意味は、ここにあります。被害者がいる事件であれば、示談が成立するかどうかが分かれ目になることがあります。

納得できないときは正式裁判を求められる

略式命令を受けた後でも、内容に納得できない場合は正式裁判を請求できます。期限は、略式命令の告知を受けた日から14日以内です。この請求をすると、通常どおり法廷が開かれ、あらためて審理が行われます。

ただし、正式裁判になれば手続きは長くなり、結果として略式命令より重い判断になる可能性もあります。争うべき事案なのかどうかは、証拠の状況を踏まえて判断する必要があります。14日という期限は短いので、迷った時点でご相談ください。

罰金を払えないとき

罰金を納められない場合、労役場留置という扱いになります。刑事施設に併設された労役場で作業をし、決められた金額に達するまで日数を過ごすものです。1日あたりいくらに換算するかは判決や命令の中で示されます。

納付が難しい事情がある場合には、分割や延納の相談ができることもあります。放置すると財産の差押えや労役場留置に進むため、検察庁の担当部署に早めに事情を伝えることが大切です。

よくあるご質問

Q. 略式起訴を断ることはできますか

できます。異議があると伝えれば略式手続には進みません。ただしその場合、検察官は不起訴にするか、通常の起訴をするかを判断することになります。断ることが有利に働くかどうかは事案によります。

Q. 罰金の額はどのくらいですか

略式命令で科せるのは100万円以下の罰金または科料です。実際の額は罪名と事案の内容によって変わります。

Q. 会社に知られますか

裁判所や検察庁から勤務先へ連絡が入る仕組みはありません。ただし、長期間出勤できない状況になれば説明が必要になります。逮捕は会社に知られるのかもあわせてご覧ください。

Q. 前科は消えますか

罰金刑の場合、刑の執行を終えてから一定の期間が経過すると、法律上の資格制限などの効力が失われます。ただし捜査機関の記録そのものが消えるわけではありません。

Q. 弁護士に頼む意味はありますか

略式起訴に応じる前の段階であれば、不起訴を目指した働きかけができる場合があります。費用の考え方は弁護士費用の相場にまとめました。

ファストロイヤーができること

ファストロイヤーは、逮捕・勾留直後の初動に特化した緊急接見サービスです。ご連絡をいただき次第、弁護士が警察署へ向かいご本人と面会します。略式起訴に同意するかどうかを問われる場面は、捜査の終盤に突然訪れます。その前に方針を決めておけるかどうかで、選べる道が変わります。

逮捕されていない在宅事件のご相談も承っています。警察や検察から呼び出しの連絡が来た段階でご相談いただければ、その後の対応を一緒に組み立てられます。

受付は24時間365日、初回のご相談は無料です。対応エリアは東京都(島しょ部を除く全域)、神奈川県(横浜市・川崎市ほか)、埼玉県(さいたま市・川口市・所沢市ほか)、千葉県(市川市・船橋市・松戸市ほか)です。ご家族からのご依頼も承っています。

罪名別の解説:痴漢盗撮傷害窃盗飲酒運転薬物詐欺器物損壊住居侵入無銭飲食・無賃乗車公務執行妨害迷惑防止条例違反少年事件

ご依頼の前によくいただくご質問は「よくあるご質問」にまとめています。

緊急相談ダイヤル:050-1809-2174

監修:廣瀬太亮(東京弁護士会所属)

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