保釈とは|保釈金の相場はいくら?流れと認められる条件を弁護士が解説

「保釈金を積めば出られる」と聞いたことがある方は多いはずです。しかし保釈は起訴された後にしか使えない制度で、認められるための条件もあります。この記事では、保釈の仕組み・保釈金の相場・請求から釈放までの流れを解説します。

「保釈金を払えば、すぐに出てこられるんじゃないの?」——ご家族が勾留されている方から、よくいただく質問です。実は保釈は起訴された後にしか使えない制度で、起訴前の身柄解放には別の手段が必要です。

目次

保釈とは|起訴後にしか使えない制度

保釈とは、起訴された後に、保釈保証金(保釈金)の納付を条件として身柄拘束を解く制度です(刑事訴訟法88条以下)。対象は起訴された「被告人」であり、起訴前の「被疑者」の段階では保釈を請求できません。

つまり、逮捕直後〜勾留中の身柄解放は、勾留阻止の意見書・準抗告・勾留取消請求といった別の手続で争うことになります。逮捕からの72時間の初動が重要なのはこのためです。

保釈の3つの種類

  • 権利保釈(刑訴法89条)——除外事由(重大事件、罪証隠滅のおそれ、被害者・証人への働きかけのおそれ など)に当たらない限り、請求すれば許可される保釈
  • 裁量保釈(刑訴法90条)——除外事由があっても、裁判所の判断で許可される保釈。実務ではこちらで許可される例も多くあります
  • 義務的保釈(刑訴法91条)——勾留が不当に長くなった場合に認められる保釈

保釈金の相場|いくら必要で、戻ってくるのか

保釈金の額は、事件の内容・前科の有無・本人の資力などを考慮して裁判所が決めます。一般的な事件では150万円〜300万円程度が一つの目安です。

保釈金は「逃げたら没取される」という担保であり、罰金ではありません。裁判にきちんと出頭し、保釈の条件を守れば、判決の内容にかかわらず全額返還されます(有罪判決でも戻ってきます)。逆に、逃亡や条件違反があると保釈が取り消され、保釈金は没取(ぼっしゅ)されるおそれがあります。

まとまった現金をすぐに用意できない場合でも、保釈金の立替えや保証の制度を利用できる場合がありますので、弁護士にご相談ください。

保釈請求から釈放までの流れ

段階 内容
起訴 この時点から保釈請求が可能に
保釈請求 弁護士が請求書と資料(身元引受書など)を裁判所に提出
検察官の意見 裁判所が検察官から意見を聴く
裁判官面接 弁護士が裁判官に直接事情を説明
保釈決定・納付 許可が出たら保釈金を納付
釈放 納付確認後、その日のうちに釈放されるのが通常

請求から決定までは通常2〜3日程度です。資料の準備が整っていれば起訴当日に保釈請求を出すこともでき、その分だけ釈放も早まります。

保釈が認められやすくなるポイント

  • 身元引受人の確保——同居のご家族などが監督を誓約することが重要です
  • 住居・生活環境の安定——帰る場所と仕事・学業の継続性を示す
  • 示談の成立——被害者のいる事件では、罪証隠滅・働きかけの懸念を小さくする大きな材料になります
  • 起訴前からの準備——これらの材料は起訴されてから集め始めるのでは遅く、勾留中の弁護活動がそのまま保釈の準備になります

保釈中の生活と注意点

保釈には、住居の制限、旅行の制限(裁判所の許可が必要)、被害者や共犯者への接触禁止、公判期日への出頭などの条件が付きます。条件に違反すると保釈が取り消され、再び収容されたうえ保釈金も没取されるおそれがあります。保釈はゴールではなく、裁判に向けた準備期間と考えることが大切です。

保釈金は誰が払う?用意できないときの方法

保釈金は本人以外が用意しても構いません。実際にはご家族が立て替えるケースが大半です。裁判所に納めるのは現金が原則ですが、まとまった額をすぐに用意できない場合、次の方法があります。

  • 日本保釈支援協会の立替制度——保釈金を立て替えてくれる民間団体です。手数料がかかりますが、現金がすぐに用意できない方の受け皿になっています
  • 保釈保証書発行事業(全国弁護士協同組合連合会)——現金の代わりに保証書を裁判所に提出する制度です。利用には弁護人を通じた手続が必要です
  • 親族からの借入れ——最も一般的です。誰が出したかによって保釈の可否が変わることはありません

注意点として、保釈金の出所は裁判所に説明を求められることがあります。事件と関係のある資金(たとえば詐欺の被害金)であれば認められません。

保釈金はいつ、どうやって戻ってくる?

保釈金は罰金や賠償金ではなく「預け金」です。保釈の条件を守り、裁判にきちんと出頭していれば、判決が確定した後に全額が返還されます。有罪判決(執行猶予・実刑を問わず)であっても、条件違反がなければ返ってきます。

  • 返還の時期——判決確定からおおむね1週間〜1か月程度。裁判所から納付者へ通知が届き、指定口座に振り込まれます
  • 返還されないケース——正当な理由なく公判に出頭しない、逃亡した、証拠を隠滅した、被害者や関係者に接触したなど保釈条件に違反した場合は没取(ぼっしゅ)され、全部または一部が戻りません
  • 実刑判決の場合——判決確定で保釈は失効し収監されますが、保釈金自体は返還されます

保釈が却下されたらどうなる?

最初の保釈請求が却下されることは珍しくありません。却下された場合、次の手段があります。

  1. 準抗告——却下決定に対する不服申立てです。別の裁判官が改めて判断します
  2. 再度の保釈請求——事情が変われば何度でも請求できます。示談が成立した、証人尋問が終わって証拠隠滅のおそれが減った、身元引受人が確保できたといった変化が転機になります

実務上、公判で検察側の証拠調べが終わった段階は保釈が認められやすいタイミングです。一度却下されても諦めず、状況の変化に応じて請求を重ねることが重要です。

保釈と釈放・不起訴の違い

混同されやすい言葉を整理します。

  • 保釈——起訴された後に、保釈金を納めて身柄拘束を解く制度。裁判は続きます
  • 釈放(勾留からの解放)——勾留期間の満了、勾留請求の却下、準抗告の認容などで身柄が解かれること。起訴前の段階です
  • 不起訴——検察官が起訴しない判断をすること。前科はつかず、事件はここで終わります

つまり起訴前に不起訴を勝ち取れれば、保釈金は不要です。保釈は「起訴されてしまった後の選択肢」であり、その前段階でできることを尽くすほうが、費用も前科も避けられます。

まとめ:保釈の準備は起訴前から始まっている

保釈は起訴後の制度ですが、身元引受人の確保や示談交渉など、保釈を支える材料づくりは勾留中の弁護活動そのものです。逮捕・勾留の段階から弁護士が動いているかどうかで、起訴後の保釈請求のスピードと通りやすさは変わります。ファストロイヤーは24時間365日・初回相談無料で、勾留中の緊急接見から起訴後の保釈請求まで対応しています。

緊急ダイヤル:050-1809-2174(LINEでのご相談はトップページから)

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本記事の監修:ひろせ法律事務所 弁護士 廣瀬太亮(東京弁護士会所属)

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